夜空に輝く三つの星が見えるかい?
これは、そのうちの
一つの星の物語ーー
七瀬晶 / 星の案内人
君の名はパルル。
ハーマの村に暮らす少年だ。
幼いころから冒険が大好きだった。
村のあちこちをかけまわり、
いつもひざやひじに、すり傷を作っていた。
ハーマの村は、とてもいいところだ。
春には花々が風にそよぎ、
秋になれば黄金の麦の穂が揺れる。
君のもっぱらの遊び場は、
村の北にある墓地や古い井戸のまわり。
領主ジヌーシェの敷地にも忍び込み、
よく叱られたっけ。
村の南に広がる禁断の「ケガレの森」だけは、
さすがに足を踏み入れたことがない。
『決して立ち入ることなかれ』
と書かれたバリケードがあるし、
夜になると、森の奥から
世にも恐ろしい吠え声が響いてくるのだ。
父さんのガレオは、村の見張り番。
危ない場所には柵を立て、
君が怪我をしないかと心配ばかりしている。
母さんのターニャは働き者で、
畑を耕し、
食事を作り、
家を掃除し、
近所の人々のつくろい物まで引き受けている。
『結婚するなら、母さんみたいなしっかり者が一番だ』というのが、父さんの口ぐせだ。
半年ほど前のある日、東の野原で遊んでいて、
うっかりスズメバチの巣を飛び込んでしまった。
体じゅう刺され、あやうく死にかけた君は、
「もう村の外に出るな!」
父さんのガレオに、外出を禁じられてしまった。
……やれやれ。
村人たちはみな親切で、
君のことをかわいがってくれる。
けれど君の胸には、消えることのない炎がある。
いつの日か、広い世界を旅してみたい。
見たことのない景色や、
見知らぬ人々との出会い、
胸の躍るような冒険をしたいのだ――。
村の東には草原と森、
その北側には天高く雪山がそびえている。
道をずっと進めば、まだ見ぬ町ブレイマーへ。
噂にしか聞いたことがないけれど、
お店がたくさん並んでいて、
遠くからの旅人達も大勢やってくるそうだ。
そんな君も、もうすぐ成人の日を迎える。
村では、成人する若者たちを祝って、
大きな祭りが開かれる。
この日一緒に踊った相手とは
将来結ばれるという言い伝えがある。
今年、君と同じく成人を迎える娘は三人。
さて、誰を誘おうか――?
幼いころから君と一緒に過ごしてきた幼馴染。
両親は名だたる薬師で、長らく家を留守にしている。
薬師のおばあさんから、マアナも薬作りの見習い中。
君が怪我をすれば真っ先に駆けつけてくれる。
教会で、コーネル牧師と住んでいる黒髪の少女。
彼女の過去に何があったのか、誰も知らない。
口数は少ないけれど、
たまに口にする言葉は謎めいていて、
神秘的な紫色の瞳に見つめられると、
なんだか吸い込まれそうになる。
ハーマ村を治める領主の一人娘。
亡き母マルグリットそっくりの美しい金髪を持つ彼女を、オルランド公は溺愛している。
気高く気品のある少女は、
母親の葬式の時も涙を流さなかったとか。
豪華でメイド達にかしずかれている彼女は、
どんな男ならダンスの誘いを受けるのだろう?
パルル は ???を選んだ。
選んだヒロインと共に、物語が今、動き出す……