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Project SEVEN
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┘┘┛┘┘     可愛いのがお好き?
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「女の子が紹介してくれる子って、たいてい可愛い子いないんだよね。」
 DJがラジオで話しているのを聞いて、ふと考えこんでしまった。
 その説の真偽にではない。
 可愛い、という言葉についてだ。
 合コンをセッティングする時、男性はたいてい「可愛い子いる?」と
尋ねてくる。
 気に入った子がいれば「あの子超可愛いんだよ。」なんて噂したりす
る。 
 それ以外の表現はまず使われることがなく、猫も杓子も「可愛い」だ。
 なんとなく釈然としない。
 「可愛い」
 女性に対する価値基準は、それだけなのだろうか?
 涼やかな美人、とか、コケティッシュな愛くるしさ、とか、エキゾチッ
クな魅力、とか色々あるではないか。
 容姿だけじゃない。
「愛らしい」「優しい」「頭の切れる」「明るい」「面白い」「上品な」
・・・
 人間の魅力はたくさんある。
 なんでもかんでも「かわいい」なんて抽象的で曖昧な表現で括ってし
まっ たら、そりゃ好みの子を紹介してもらえる筈もあるまいに。

 考えてみると、「かわいい」のカバー範囲は年々広がっている。
 人間や動物にたいしてはもちろん、植物、家具、アクセサリー、家、
洋服、車や電気製品に至るまで、何でも「かわいい」の一言で表現され
る。
 ツアーで訪れたいかめしい市長の銅像に、女子高生が「かわい〜」な
どと評していたと、ガイドさんが苦笑まじりに話していたっけ。
 男らしいとか、かっこいいとか、ダンディだとか言うならまだ分かる
のだが。
 暗闇で明滅する蛍を見て「かわい〜」などと声があがったという話も
読んだ。
 こちらも本来なら「綺麗」「幻想的」とでも言うべきところだろう。
 要するになんとなく「いい感じ」なら全て「かわいい」の一言で終わ
らせてしまうということか。

 新語造語の類はあまり気にならないのだが、なんでも一語で終わらせ
てしまう風潮は言葉が貧困になっていくようでどうにも寂しい。
 以前、電車の中で、女の子が友達の指輪を覗き込んでしきりに感心し
ているのを見かけた。
「え〜、これ超かわいくない?」
 相当気に入ったらしい。次々と言葉を紡ぐ。
「超かわいいよ、これ。」
「どこで買ったの? いやぁ、超かわい〜。」
 思わず耳をそばだててしまったのだが、約15分の間、ほとんど「か
わいい」だけで会話を終わらせてしまったのには恐れ入った。

 もっともこうした現象は、日本だけの話ではないらしい。
 アメリカの友人と一緒にデパートへ行った時、しきりにprettyを連発
していたっけ。
 "That's pretty."
 "Isn't it pretty?"
 "Wow. Pretty."
 beautifulだのwonderfulだのfantasticだの、英語にもたくさん単語
はあるのに、それ以外の言葉は一言も口には上らなかった。

 せっかくの豊かな日本語がこんなことでいいのかなあ。
 アメリカから流入したハンバーガー的画一文化が、せっかくの言葉の
パワーを吸い取っている気がする。
 などと嘆くうちふと思い出した。
 平安時代の貴族達も、ふたつの言葉をしきりに並べたてていた。
「いとおかし」「おくゆかし」
 清省納言も紫式部も何十回、何百回と乱発していたっけ。
 この二語が、超かわいい、すっご〜い、に置き換わっただけと思えば、
実は、あまり目くじらたてることでもないのかもしれないなあ。

                           了
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サイバーパンクとも本編とも何の関係もないネタで申し訳ありません。

しかし、言葉ってのもある種のプロトコルで文章ってのは仮想現実なわ
けで、規約を決めて作られるプログラムと違って、時代とともに言葉が
自然発生的に変化していくのは興味深いな〜なんて思います。
(と無理やり結びつけてみる)
ちなみに、小説はなるべく同じ単語を繰り返さないのが良いとされます
が、プログラムは単語数は少なくシンプルな方が美しく書けますね。
なんかこの辺りも掘り下げてみると面白いかもしれないなあ。

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